渓流手帖

五十川

山形県

鶴岡市の旧温海町北部を流れ、日本海に直接注ぐ二級河川。湯ノ沢岳に源を発して北へ下り、菅野代の小盆地から戸沢、山五十川の集落を抜け、河口の五十川集落で海に出る。連結する流路の長さは20キロほど。荘内地名辞典によると、川名のイラはイヌカラムシのことで、繊維を採る野生植物のイラが沿岸に自生する川という意味だという。五十はイあるいはイソと読む字だが、この川では「いら」に当てられている。五十川、山五十川という地名も駅名も高速道路のインターチェンジの名もこの川に由来し、管轄する山戸漁協の山戸は山五十川と戸沢を合わせた旧山戸村の名である。鼠ヶ関川、温海川、庄内小国川とともに温海四渓流と呼ばれ、四本は約5キロ間隔で平行に日本海へ注いでいる。ただし五十川だけは山戸漁業協同組合の管轄で、遊漁券がほかの三本と別になる。川幅が狭く水深も浅い小河川で、ゆったりした流れのポイントが多く足場もよいので、初めて竿を持つ人でも構えずに入れる里川という紹介のされ方をしている。下流部はサクラマスとアユ、山五十川から戸沢にかけての中流域でヤマメ、戸沢より上流と支流でイワナという釣り分けになる。2025年4月に山形の釣具店員がルアーとテンカラで探ったときは、雪代の影響で水位が高いなかで山五十川周辺の堰堤直下でイワナのチェイス、戸沢地区で流心脇の緩い流れからヤマメのチェイスがあり、最後に菅野代頭首工でイワナを釣っている。緩い流れを丁寧に探れば雪代の時期でも釣りは可能で、下流域のサクラマス狙いも面白いという見立てだった。2008年8月22日には、いつもは竿を出さない国道と県道の合流付近で49センチの雄のニジマスが上がっていて、鰭の形から川で育った魚だと書き手は見ている。この日の釣果はほかにイワナ17から24センチが8匹とヤマメ23センチ、24センチだった。2024年9月にはルアーでヤマメが出ており、初めてヤマメを釣った思い出の川と書く地元の釣り人もいる。一方で1998年8月の記録は、狙っていたポイントが渇水でひどく、護岸工事のされた川幅10メートルほどの場所に入って水温15度と書いている。2000年4月に上流を見て回った釣り人は、鼠ヶ関川と同じく人の手がよく入っていて、道から見るかぎり竿を出したくなるポイントが見当たらないと率直に記した。源流域への入渓は堰堤の横を通るしかなく、古い入渓案内は、五十川に架かる橋の手前と堰堤に向かう林道との接点が地図に描かれていない、両岸に稲田が点在しているのだから農耕車が入る道が必ずあるはずだと書いている。堰堤を人の踏み跡で越えれば渓流魚の世界が待っているという。サクラマスの川としての評価は高く、温海の四本のなかでいちばんサクラマスがのぼるのはこの川だと2011年に地元のルアー釣り師が語っている。以前より数は減っているという但し書きも付く。2001年4月には中流で60センチが上がり、2005年には30から40センチのイワナ3匹と60センチクラスのサクラマスのバイトミスという記録がある。アユの解禁は7月15日で、7月1日に解禁する温海のほかの三本より半月遅い。解禁日は入る場所がないほど人と車で埋まり、解禁から良型が釣れると語り継がれる川だと書かれている。遊漁は山戸漁業協同組合の内共第20号。イワナとヤマメが4月1日から9月30日、サクラマスが4月1日から8月31日、アユが組合の公示する日から10月31日、ウグイが6月1日から12月31日、カジカが4月1日から12月31日、モクズガニが9月1日から12月31日。山形県のサクラマスは3月1日解禁だが、月光川、日向川、この五十川、温海川、庄内小国川、鼠ヶ関川だけは渓流と同じ4月1日からになる。料金は雑魚が日券1000円、年券2400円、サクラマスが日券3000円、年券8000円、アユが日券1500円、年券6000円、モクズガニが年券3000円。現場で監視員に納めるときは1000円が加算される。小学生以下は無料、80歳以上と肢体不自由者は半額だが、この二つはオンラインでは売られていない。アユの遊漁料を納めれば、サクラマスとモクズガニ以外の魚も釣ることができる。漁法は釣り、すくい網、徒手採捕、カジカに限ってやす、それに15段以下の投網。アユは公示の日から10日間、友釣り以外の漁法が禁じられる。禁漁区は二か所。戸沢口橋から上流の五十川はサクラマスとヤマメが周年禁止で、イワナはこの禁止に含まれない。現場では戸沢集落の少し上流から、湯の瀬温泉の上流にある砂防ダムまでの区間に禁漁の看板が立っている。もう一か所は五十川地内の羽越本線の鉄橋から下流河口までで、こちらは10月1日から10月31日までアユが禁止される。全長制限はウグイが10センチ、モクズガニが甲幅5センチで、ヤマメとイワナには全長制限がない。同じ庄内でも日向荒瀬漁協と小国町漁協はヤマメとイワナを15センチ以下は放すことにしているので、県内で共通の決まりだと思わないほうがよい。県の資料と漁協の遊漁規則は禁漁区も全長制限も一致していて、隣の温海町内水面漁協のように県の表より漁協のほうが禁漁魚種が広いという食い違いはない。遊漁券はつりチケとフィッシュパスで買え、つりチケのアプリではGPSで監視員に位置を知らせる機能に対応している。オトリは河口の富樫鮮魚店で扱う。内水面漁連の県内共通遊漁承認証を持てば、山形県の内共第1号から第26号までの漁場で竿釣りができる。漁場図には支流として荒沢川、戸沢川、温俣川、大早田川、大瀬戸川、山ノ下川の名前が入っていて、荒沢川と戸沢川の下流にヤマメ、温俣川と大早田川の上流、大瀬戸川、それに本流の最上流部にイワナのアイコンが付く。いずれも公開されている釣行記が見つからないため、この水系では本流だけをページにしている。支流の名前には由来がわかっているものがある。大瀬戸川はお背戸川で、村の裏口を流れる川という意味で、鬼坂峠から菅野代へ下る道に沿う小渓流である。河口の左岸に最初に入る乳飲沢川はちのみざわと読み、地元にはちのみぞという通称と、血呑み沢とする言い伝えがある。検索するときの注意が二つある。五十川は集落名でも駅名でもインターチェンジの名でもあるので、川の話を探しているのに駅や海岸、漁港の記事が混ざる。もうひとつは読みで、地元と漁協はいらがわだが、1998年の釣行記には「いらかわ」とふりがなを振ったものがある。新潟県三条市の五十嵐川、佐渡の五十浦川、魚沼の五十沢川はいずれも別の川である。鶴岡市はクマの出没情報を毎年公表していて温海地区も含まれるので、上流や支流に入るときは鈴やスプレーを持ちたい。

管轄漁協:山戸漁業協同組合

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釣行記12

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