渓流手帖

永下川

青森県

下北半島の付け根、むつ市大字城ヶ沢を流れる小さな川。半島の最高峰である釜臥山の南の斜面、標高四百七十メートルあたりに源を発し、南へ十キロほど下って陸奥湾に注ぐ。大湊の市街地は釜臥山の北側なので、同じ山を挟んで海側と反対の面を流れていることになる。流域は城ヶ沢の集落より山側に広がり、川沿いには牧場と細い道が続く。 青森県は水質の環境基準を水域ごとに決めるとき、この川の全域を「生物A」という区分に当てている。生物Aは、イワナやサケ・マスのように比較的低温の水を好む魚とその餌になる生き物が生きている水域に付けられる区分で、県が公式にこの川をそういう川だと認めていることになる。むつ市内で同じ区分を受けているのは田名部川と宇曽利川で、川内川と大畑川はさらに手厚い「生物特A」(産卵の場や稚魚の育つ場として特に守るべき水域)になっている。水質を測っているのは永下橋である。 釣りの対象はイワナとヤマメ。地元の書き手は「この川にいい型の岩魚が生息している。知り合いの方が二十五センチ前後の岩魚を十数匹釣り上げて、スモークをかけたのをいただいたことがある」と書いている。ヤマメは大きくはないが体高があって釣り味が良いという評もある。本当に良いポイントは上流にあると言われるが、マムシとクマを警戒する声が強く、単独では入りにくい川でもある。下流側は道が近く、様子を見るだけなら立ち寄りやすい。 水源地のあたりでは、すぐ横を宇曽利川が並走している。宇曽利川も生物Aの区分を受けていて、こちらでは地元の奉仕団体と保育園が毎年ヤマメの幼魚を放流してきた。 入口は国道三三八号で、むつ市街から海上自衛隊の基地を横目に川内方面へ向かうと「永下」という小さな標識が出る。その先には昭和十六年に掘られた永下隧道が残っている。延長百八十四メートルの石積みの坑門を持つ隧道で、戦時中は大湊の海軍が毒ガス弾の弾薬庫として使っていた。弾は終戦直後に陸奥湾へ投棄され、いまは封鎖されて静かに残っている。 この川を受け持つ組合はない。遊漁券は要らないが、県の漁業調整規則が定める禁止期間や大きさの制限は、漁業権のあるなしにかかわらず県内のすべての川にかかる。サケは川では一年中とることができない。 むつ市には、釣りの記録が一本ずつしか見あたらず器を作らなかった川がいくつもある。角違の大川目川とその支流の小川目川(林道が沿い、二十センチのイワナが出ている)、宇曽利川、今泉川とその支流の松田川・天狗川、むつ市と横浜町の境を流れる境川、川内の戸沢川・柳ノ沢・桧川・宿野部川、奥内川、浅沢川などである。どれも短い独立した流れで、記録が増えたら器を立てたい川である。

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釣行記3

釣り方:
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