新井田川
青森県
岩手県久慈市の多々良山(970メートル)と平庭峠に源を発し、瀬月内川の名で九戸村と軽米町を流れ、青森県との県境付近で雪谷川を合わせたところから新井田川と名を変える川。青森県に入って古里川、頃巻川、松館川などを集め、八戸市の湊で太平洋に注ぐ。流路延長78.1キロ、流域面積585.4平方キロの二級水系で、うち青森県の区間は28.6キロ、流域面積180平方キロ。階上岳(740メートル)、平庭岳、折爪岳を主とする山々に囲まれた、南北に細長い流域をもつ。 昭和12年に治水工事が始まったときは馬淵川の支川という扱いだった。昭和14年に馬淵川の河口を分ける放水路の工事が始まり、昭和30年に今のように新井田川だけで一つの水系になったという、めずらしい成り立ちの川である。川幅は中流の島守地区で60から70メートル、下流の長館橋から河口までが70から100メートル。河床の勾配は長館橋より上が600分の1、下が2500分の1で、長館橋を境に川の表情がはっきり変わる。 渓流釣りの舞台は中流から上流にかけて。県が行った魚類の調査では、ヤマメの生息範囲は妻ノ神橋から荒谷橋のあたりまでとされていて、ちょうど島守の盆地から世増ダムの下にあたる。そこから下流はウグイ、アブラハヤ、オイカワ、ドジョウ、ニゴイが主役になり、河口の汽水域はマハゼ、ワカサギ、ボラの世界に変わる。上流域でスナヤツメ、中流域でタナゴという、青森県のレッドリストに載る魚も確認されている。 中流の島守地区では、地元の中学生が場所ごと季節ごとに魚を観察した記録が残っている。それによると、蛇行して深みの残る虚空蔵淵ではウグイ、アブラハヤ、コイ、ウナギ、ナマズに混じってヤマメ、サクラマス、アメマスまで見られ、堰堤の周りでもヤマメが上がる。春は海から上ってきたサクラマスとアメマス、それに上りウグイの季節で、水温が低いあいだは他の魚が動かない。夏になるとヤマメとイワナが流れの速いところでよく釣れるようになり、秋はコイ、冬は深い虚空蔵淵と荒谷橋でウグイが残る。昔の島守は深みが多く川底も砂地で、コイやウナギ、ナマズの多い川だったが、護岸工事で川幅が広がって浅くなり、流れの速い浅場でも暮らせるウグイとアブラハヤが主役に入れ替わったという。島守のあたりには古里川のほかに目蕪良川という川幅1.5メートルほどの小さな支流も注いでいる。 八戸近郊の川は山から海までの距離が短く、ヤマメとイワナの生息域が極めて近い。地元の釣り人は、海の見える場所から最上流部の魚が釣れるのはこのあたりならではの面白さだと書いている。民家の近くでも思わぬ大物が出る川で、ルアーで34センチのヤマメ、エサで41センチのイワナ、夏を越した32センチの本流ヤマメといった記録がある。一方で水量の多い年と少ない年の差が大きく、四月の初めは濁りと低水温で竿を出しても手応えが無いことが多い。 上流には洪水調節と水道・かんがい用水のための世増ダムがあり、せき止めてできた湖は青葉湖と呼ばれる。平重盛が父への諫言を容れられずこの地に落ちのびたという平家の伝説にちなみ、重盛が持っていた「青葉の笛」から名づけられた。ダムの底には世増の集落が沈んでいる。湖ではブラックバスを狙う人もいるが、渓流魚を目当てにするなら、ダムの上下よりも島守から荒谷橋にかけての流れを見たい。 支流では松館川と古里川に渓流魚が入る。頃巻川はゲンジボタルの生息地として知られているが釣りの記録は見当たらず、馬渡川と御堂川は松館川の枝川にあたる。河口の八戸港側はマハゼやカレイ、シーバスの釣り場としてよく知られていて、同じ川でも渓流とはまったく別の顔をもつ。 名前には注意が要る。山形県酒田市にも同じ読みの新井田川があり、検索で出てくるシーバスやコクチバスの記録はほとんどがそちらのもの。また岩手県側の上流は瀬月内川、雪谷川と別の名で呼ばれるので、源流部の記録を探すときはその名前も使いたい。
管轄漁協:新井田川漁業協同組合/島守漁業協同組合
支流・沢2
釣行記14
動画1
支流の動画1
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