渓流手帖

内川

石川県

内川は金沢市の末町で犀川の左岸に合流する、流程およそ十五キロメートルの支流です。読みは「うちかわ」。犀川水系では最大の支流で、源頭は奥獅子吼山から三輪山にかけての山域にあります。出合から五キロメートルほど上に内川ダムがあり、その湖は金沢の水道水源にもなっています。 かつては類を見ないほどヤマメの濃い渓として知られた川でした。渓相は大岩が多くて見栄えがし、川沿いに生活道路が通っているので入渓も楽です。上流へ行くほど流れは平坦になります。ヤマメが主体でイワナも出て、四月から七月ごろがよい時期とされてきました。 ところが近年は様子が変わっています。相次ぐ大雨と大雪、そして能登半島地震による河床の変化で流れそのものが大きく姿を変え、地元の釣り人は倒木の多さと魚影の薄さを書き残しています。さらにダム湖へ密放流されたブラックバスとスモールマウスバスが増え、ダムの下へ持ち出す人まで現れて、本流のヤマメが激減したと伝えられています。放流しても棲息環境が戻らないかぎり定着しない、という厳しい見方が地元から出ています。入る前に最近の記録を確かめたほうがよい川です。 源流は東谷と西ノ谷に分かれ、三輪山や奥獅子吼山へ詰め上がります。どちらも穏やかで自然度の高い沢ですが、登山道はありません。ダム湖の奥にはゲートがあり、その先の廃村集落には週末だけ手入れに通う人がいます。熊が出る場所です。小さな枝沢ではヤマメが残っているという記録もあります。 支流の平沢川は、犀川の出合から一キロメートルほど上で内川に合流する小さな渓です。上流まで民家があって川沿いに道が通っているので、どこからでも入れるぶん釣りやすい流れです。川幅がないので短い竿で足ります。ヤマメよりイワナを見ることが多いと言われますが、五月以降はウグイが増えます。最源頭は蛇谷と呼ばれ、国見の集落には蛇にまつわる伝説が多く残ります。釣りの記録を二人以上の書き手から確かめられなかったため、独立したページは作らずここに書いています。 同じ名前の川が全国に多いので注意してください。栃木県、神奈川県、宮城県に内川があり、富山県射水市の内川は「日本のベニス」と呼ばれる海沿いの運河で、渓流とはまったく別の場所です。金沢の内川を探すときは、金沢、犀川、末町、堂といった地名を添えてください。

管轄漁協:金沢漁業協同組合

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