渓流手帖

八溝川

茨城県

八溝山の南斜面に源を発し、大子町の上野宮・下野宮を流れ下って久慈川に合流する支流。この水系でいちばん濃い渓流釣り場で、久慈川漁協が放流するヤマメ成魚800キロのうち430キロ、稚魚40,000尾のうち16,500尾がこの川に入る。水系全体の半分以上がここに集中している計算になる。4月1日の解禁日には前の晩からポイントに車を停めて夜明けを待つ人がいるほどで、宮本橋から大久保橋の周辺が代表的な区間として名前が挙がる。 解禁直後は放流ヤマメの魚影が濃く、朝の4時間で25センチ以上を含む30匹以上を釣った記録がある。それが2週間もすると釣られた分だけ薄くなり、残った魚は人影が近づいただけで散るようになる。春の特餌はカゲロウの幼虫、地元でピンチョロと呼ぶ川虫で、久慈川との合流点あたりの水たまりに湧くのを目の細かい網ですくって使う。上流に向かって釣り上がり、一か所で一匹釣ったら次の流れへ移る。イワナは上流部と支流に多く、滝の手前で連続して掛かることがある。 令和8年度の漁場図で、李平橋から大戸堰までの区間にヤマメのキャッチ&リリース区間が設定された。令和4年度の図には無かったもので、パンフレットの凡例と図にだけ書かれている。投網は北原橋より上流の全域と八溝川の全支流で禁止。門の井橋から桜井橋までは全漁法が禁止される。アユは支流なので7月1日解禁で、本流が濁って釣りにならないときの逃げ場としても使われてきた。水温が低いぶん本流より魚が小さく、そのかわり水は澄んでいる。 支流に腐沢、小田貝沢、大久保沢がある。地元の書き手は蛇穴、磯上、八溝山登山口といった呼び名で区間を語る。蛇穴のあたりは27センチ級が残る場所として繰り返し出てくるが、登山口を過ぎて源流に近づくと魚は小さくなる、というのが十数年ぶんの釣行記から読み取れる傾向になる。支流の腐沢と小田貝沢は数も型も本流に及ばない。 八溝山の周辺は八溝川湧水群として名水百選に選ばれている。奥久慈で和風レストランを営みながら延べ竿の釣りを続ける上谷泰久は、この川を舞台にした釣りをテレビと新聞の両方で紹介してきた。毎年4月下旬には八溝川の釣り大会が開かれる。 同じ「八溝川」が福島県矢祭町にもある。あちらは八溝山地の北側から流れて茗荷川と合わさり、矢祭川に注ぐ支流で、久慈川第一漁業協同組合の管内になる。両方に通っている釣り人が「福島県の八溝川です。茨城県にも同じ名前の八溝川があります」と書き残しているとおり、同じ久慈川水系に同名の川が二本ある。八溝山地そのものが茨城・栃木・福島の三県にまたがるので、栃木県側の川とも取り違えないようにしたい。

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釣行記61

釣り方:

動画6

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