
久野川
神奈川県
箱根外輪山の明星ヶ岳の東斜面に発し、熊木沢と呼ばれる細流を集めながら和留沢の集落を抜け、星山で坊所川と合わさって山王川になる、山王川水系の本流にあたる上流部。小田原の市街地から車で20分ほどしか離れていないのに、両岸に照葉樹の森が残り、峯自然園のあたりでは川幅いっぱいに水が流れる渓相を見せる。護岸されていない中流域が残っているのもこの川の値打ちで、地元の「久野川を歩く会」は河口から星山まで歩いたあと、上流部だけ実際に川に入って三段の堰堤まで遡っている。星山の古老は、アイオン台風で道が寸断されたこと、かつては川えびがたくさん取れたことを語り残した。 渓流釣りの対象になるのはこの上流部で、書き手が実際に竿を出した記録が残っている。上流部にヤマメとイワナが残存しているとする釣り人の観察があり、県の魚類調査も最上流の下河原橋でヤマメ、アマゴ、ニジマスを採捕している。中流部のキャンプ場が魚を放流しているため、そこは飛ばして上に入り直すのが定石とされ、先行者としてフライフィッシャーが入っていた記録もある。両岸から草木がかぶさるボサ川で、道路が並走していて入りやすい分だけ魚の警戒心は強い。子どもの頃この川で育った書き手は、25年ぶりに戻って和留沢の上流まで詰め、良型を一尾釣り上げている。同じ書き手は、産業廃棄物の処理場ができてから魚が減ったとも書き残している。 入渓の起点になるのは和留沢入口のバス停で、そこから西へ50メートルほどで上河原橋。川の左岸に並走する道を進むと日向林道の看板、峯自然園と続き、林道が三本に分かれる分岐に出る。いちばん左の舟原林道を選んで50メートルほど歩いたところが入渓点で、目印は路肩に捨てられた廃タイヤと釣り人が付けたらしい踏み跡になる。入渓してすぐ舟原林道の橋をくぐり、その先は狭い水路状の区間が続く。小田原駅東口から小田原フラワーガーデン行きのバスで和留沢入口まで入れる。 夏の快晴の日には、久野川の谷を箱根外輪山の斜面に沿って吹き上げる谷風が起こる。夕方まで吹き、日が沈むと止む。 この川にも漁業協同組合は無く、遊漁券は要らない。効くのは神奈川県の内水面漁業調整規則だけで、やまめといわなは10月15日から翌年2月末日まで採捕が禁止され、全長12センチ以下は持ち帰れない。同名の川が岐阜県下呂市にあり、そちらは益田川漁協の通年キャッチアンドリリース釣り場として有名なので、素のクエリで検索すると結果をほとんど持っていかれる。島根県雲南市にも久野川がある。
釣行記4
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