
西谷内川
新潟県
横畑集落の先で桑取川から左に分かれる、この水系でいちばん濃い渓。籠町南葉山(949メートル)と重倉山(1,029メートル)を源にして北西へ下り、くわどり湯ったり村のあたりで桑取川本流と合わさる。 名前が三つある川である。新潟県の二級河川台帳での名は谷内川(やち)で、指定区間は延長1,400メートル、起点は大字西谷内字川内地内のスミヤキの谷合流点。地図に載る名も谷内川である。一方で釣り人と遡行者は西谷内川と呼び、地元では谷内谷(やちだに)とも呼ぶ。記録を探すときは西谷内川で当たったほうが出てくる。 妙高市の山岳会が書いた案内には「登山対象というよりイワナを対象とした渓流釣りのフィールドとして知られ、ことに西谷内川は地元釣り師秘蔵の沢である。源流の連瀑帯まで渓魚が生息し、上、中流域の魚影の濃さは特筆ものだ」とある。古い山人が源頭まで魚を移植した結果ではないかと書かれていて、同じ文に乱獲を慎むよう添えられている。 入り方は、くわどり湯ったり村から鏡ヶ池へ続く林道をたどり、左へ分岐する道に入ると上越市の上水道取水口に着く。ここから上流には人工物も山道も一切ない。林道の入口にはゲートがあり、閉まっていることが多い。開いていれば取水口まで車で入れるが、閉まっていれば徒歩でおよそ30分である。取水口のすぐ下にある堰堤は、水量が落ち着いていれば数匹がまとまって出るいわなの集合地になっている。 取水口から上は、小ゴルジュにかかる3メートルの滝を越すと渓相が上がる。両岸が高くなって狭いゴルジュが迫るところが「通らず」で、ここが一般の釣り人の日帰り限界点とされている。直登もできるが、少し戻って左岸を高巻くのが普通で、巻き終わると二俣に出る。二俣から上は左俣が本流で、水量が落ちていったん渓相が落ちる。5メートル前後の小滝をいくつか越すと沢は右へ回り込み、10メートルから15メートル級の直瀑が連なる源流の連瀑帯になる。3段20メートルの最後の滝の手前から左岸を高巻いて稜線へ上がると籠町南葉山の登山道に出られる。参考タイムは取水口から二俣まで3時間、二俣から矢代山地の主脈まで3時間、そこから重倉林道まで1時間、西野谷のバス停までさらに1時間30分。 二俣で分かれる右俣は、2011年に山岳会が入ったものの、標高540メートルの二俣から650メートル付近が核心で20メートル級の滝が連なり、尾根に追い上げられて完全遡行はされていない。ただし標高730メートル付近の尾根には踏み跡と鉈目があり、左俣の魚を目当てにした釣り人がこの尾根を使っていると書かれている。 沢登りとしては、低山ながら谷筋が深く豪雪で、活動できるのは6月中旬から。足回りは沢靴よりスパイク足袋がよいとされる。 3月1日の解禁直後は流れがやや強く濁るが、渡渉は最深部で膝上程度で、いわな釣りには十分な水位になることが多い。この時季は大場所がポイントになり、魚の付き場所が誰の目にも分かる。尺には少し足りないがほとんどが良型、というのが解禁日の記録である。ただし就餌が活発になる前なので、体長のわりに細身の魚が多い。 毎年のように、解禁前に入渓した足跡や、ゲートの奥まで入った車の轍が見つかっていると報告されている。 漁業権は内共第17号のひとつで、上越市有間川地内の国道8号有間川大橋の下流端から上流の桑取川とその支川が漁場になる。免許を受けているのは桑取川漁業協同組合(上越市有間川661/025-546-2217)。 この漁場でいちばん大きな特徴は、対象魚種があゆ・うぐい・かじかの3種しかないことである。新潟県の第五種共同漁業権は内共第1号から第22号まであるが、いわなとやまめが対象魚種に入っていない漁場は桑取川だけで、県が公表している対象魚種一覧の欄外にも「対象魚種ではないため一般の方の採捕可能」と注記されている。つまり桑取川のいわなとやまめは、漁協の遊漁承認の対象になっていない。 ただし遊漁規則第10条の県内共通遊漁承認証(新潟県内水面漁業協同組合連合会・年13,200円)は、表アに桑取川の内共第17号を含めたうえで、いわな・やまめの竿釣を県下一円で認める形になっている。地元の釣り人はこの共通承認証を持って入っており、2020年3月1日に入渓した山岳会の記録にも、前月に共通承認証を入手して解禁日を迎えたと書かれている。書きぶりが食い違うところなので、入る前に組合に確かめるのが確実である。 渓流魚の期間と全長は、漁業権とは別に新潟県漁業調整規則第37条が県内全域に効く。いわなとやまめは10月1日から翌年2月末日までが採捕禁止で、実質的な解禁期間は3月1日から9月30日まで。全長15センチ以下のいわな・やまめは一年を通して採捕できない。この規則は漁業権の有無と関係なく適用されるので、桑取川でも守る必要がある。 あゆ・うぐいの遊漁料は竿釣が年2,700円、投網が年3,500円、かじかのカゴが年3,500円(いずれも税込)。日券の設定は無く、年券だけである。川で漁場監視員に納めるときは500円が加算される。未就学の幼児と小学生は無料、中学生と肢体不自由者は半額。販売所は田口屋商店(上越市有間川609-1)と長沼商店(上越市西横山236-2)の2か所。つりチケやFISHPASSのようなオンライン販売は無い。 あゆの遊漁期間は6月16日から11月30日までの間で組合が定めて公表する期間(10月1日から10月7日までを除く)で、公表は組合と田口屋商店・長沼商店への掲示で行われる。うぐいは通年、かじかは通年だが4月11日から4月20日までを除く。漁具は竿釣1本、投網は直径3.5メートル以内を1ヶ統、カゴは2個以内。 通年の禁止区域は無い。県の漁場図にも赤い除外線は引かれておらず、新潟県内水面漁連の遊漁のしおりでも桑取川の禁止区域欄は「なし」となっている。 ただし遊漁規則第7条4項に、西戸野大橋から有間川橋に至る区域の川底を撹はんしてはならない、という条文がある。あゆの産卵床を守るための規定で、漁場図にも県の一覧にも載っていない。
管轄漁協:桑取川漁業協同組合
釣行記4

桑取川水系西谷内川(頸城の山 特選コース)アスターク同人


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