渓流手帖

盛川

岩手県

岩手県の沿岸南部、三陸沿岸の最高峰である五葉山(ごようさん、1341メートル)の南西麓に源を発し、大船渡市日頃市(ひころいち)町で流れを南東へ変え、猪川(いかわ)町を貫いて盛町の北東を通り、大船渡町と赤崎町のあいだで大船渡湾に注ぐ二級水系の本流。流程はおよそ17キロメートルで、流域のおよそ8割が山林。市街地のすぐ裏に源流域があるという、三陸の川らしい距離の短さを持つ。 上流部は大型の転石と岩肌が露出した渓相で、淵では尺を超えるイワナも出る。最上流部は深く切れ込んでいて、源流行の覚悟が要る区間になる。中流部は早瀬と淵が交互に現れ、ヤマメの魚影が濃い。下流部は川幅が広がり、天然遡上のアユのほか、ウグイ、コイ、ウナギが住む。春にはサクラマスが差し、その降海準備に入った銀毛のヤマメを地元は「ヒカリ」と呼んで狙う。日本海側の川と違って雪代が入らないので、早春から水が澄むのがこの流域の性格。 中世末までは「佐狩川(さかりがわ)」と書かれ、近世以降に「盛川」の表記が定まった。日頃市の地内ではかつて日頃市川とも呼ばれていた。渡河点は上流から石橋、大渡(おおわた)り、中井、権現堂、川口と並び、現在の橋の名にそのまま残っている。上流から順に石橋、関谷橋、下宿橋、板用橋、長安寺橋、大渡橋、権現堂橋、中井大橋、川口橋が架かり、釣り人はこの橋の名で区間を語る。大渡橋の上流にある上長淵(かみながふち)のように、名前のついた淵がいくつもある。 2014年に地元の釣りクラブ(流心会、立根川釣り同好会)と漁協、北里大学海洋生命科学部が「盛川の環境を守る会」をつくり、ウナギのための石倉の設置、ヨシガヤの刈り払いと河川清掃、年2回10定点の水生生物と水質のモニタリングを続けている。北里大学は三陸に学部を置いて以来50年にわたってこの川で魚類や水生昆虫、サケ・アユ・ウナギの資源、ダムが水生生物に与える影響、魚道の機能を調べてきた。東日本大震災でキャンパスが相模原へ移ったあとも調査は続いている。 本流と支流のすべてが一つの漁業権のなかにあり、遊漁の区域は河口近くの川口橋から上が丸ごと含まれる。だから漁業権の切れ目の外にある、いわゆる漁協のない沢はこの水系には存在しない。一方で地図に名前の載らない枝沢は多く、日頃市町側の坂本沢や大森沢、小通川、盛町の御山下沢、黒森沢、宇津野沢、蛭がた沢などは、滝や沢を歩く人の記録にだけ名前が出てくる。いずれも位置を示す確かな資料が見つからないので、ここでは独立した川としては扱っていない。

管轄漁協:盛川漁業協同組合

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支流・沢5

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