渓流手帖

猿毛川

新潟県

米山の南斜面を源として柿崎区猿毛を流れ、柿崎区上中山で柿崎川に合流する支流。二級河川の指定区間は3,800メートルで、上流端は猿毛字江下の滝川合流点である。 この水系でいちばん記録の残っている渓で、毎年3月の解禁から通い続けている釣り人がいる。入り方は国道8号を柿崎で左折して吉川方面へ向かい、米山寺から米山登山口へ上がって行き止まりに駐車する。別の年には米山山麓の水野集落から林道に入っている。そこから山肌を横切る用水路の脇を歩き、斜面を下って入渓する。車止めから渓まで30分から50分ほどかかる。 過去に何度も訪れて魚止めも比較的近く歩きやすい渓、ただし木々が渓を覆って極めて釣りにくく良型は望めない、というのがこの釣り人の総評である。それでも尺物が掛かった年があり、2022年4月には20センチほどのいわなが3本続いたあと27センチが出ている。川幅が狭いので少しの増水で徒渉ができなくなる。雪代で増水すると午前中で濁流になることがあり、2022年4月の記録では11時に釣りが不可能になっている。増水時でも逃げ場があり比較的安全な渓とされるが、枝がせり出していてこの上なく歩きにくいとも書かれている。 上流で川は二股に分かれ、シラバ沢と本流に分かれる。シラバ沢はいつものポイントから始めて振り込んだとたんに掛かるほど魚が濃い年があり、5、6尾がゆらゆら見えるポイントで釣り上げてもすぐまた出てくるほど警戒心が無かったという。本流とシラバ沢の出合が一つの目印になっている。殿上沢という枝沢もある。 雪の残り方で入れる時期が決まる渓でもある。3月上旬から中旬は林道が一面の雪原で、凍み渡りができなければ樏を履いて歩くことになる。林道の車止めまで車で入れるようになるのは4月中旬以降の年が多い。9月に入った記録では木々に覆われて遡行は這うようになり、入渓地点まで1時間かかったと書かれている。 山肌にはしらねあおいが咲き、春はかたくり、きくざきいちげ、すみれ、えんごさく、山椿が咲き揃う。わさびとこごみ、うど、わらびが採れる。解禁直後の連休前には他県ナンバーを含めて複数の車が車止めに並ぶこともある。 新潟県内には同じ名前の猿毛川が加茂市側にもある。加茂市の猿毛岳は登山の対象として有名なので、検索するときは柿崎や上越を足したほうがよい。 この水系には、赤い斑点の出方がニッコウイワナと違ういわなが釣れるという話がある。新潟県渓流協議会は、会員が柿崎川の支流で釣った腹の赤いいわなの写真を紹介し、ヤマトイワナの特徴に近く、かつて新潟県から富山県北部にまたがって生息していたとされるヒライワナではないかと書いている。米山寺川の源流に入った釣り人も、腹がやけに赤く背のまだら模様が白い斑点でつながってサバのようになったいわなが多いとして、このあたりで言われているヒライワナだろうかと記録に残している。 どちらも断定はしていない。放流された種苗が混じっている可能性があるので結論は出ない、というのが協議会の書き方である。ただし小さな沢で放流もされず、めったに人の入らない渓なら可能性は捨てきれないとも書いている。 柿崎川水系には現在、内水面の漁業協同組合が無い。新潟県が公表している第五種共同漁業権の設定状況は内共第1号から第22号までの22件で、その全文にも漁場図にも対象魚種一覧にも、柿崎川と支流の名前は出てこない。東隣の鵜川は内共第14号、西隣の関川は内共第15号、その先の桑取川は内共第17号だが、そのあいだの柿崎川だけが漁業権の設定されていない川になっている。 ただし名立川のように最初から漁協が無かったわけではない。新潟県内水面漁業協同組合連合会の記録では、柿崎町内水面漁業協同組合は昭和59年5月に刈谷川漁協とともに連合会へ加入して27漁協となり、平成23年(2011年)7月に退会して会員は26漁協に減っている。つまり27年ほど活動したあと解散した漁協である。地元で聞き取りをした釣り人の記録によれば、解散のいちばんの理由は組合員の高齢化で、2000年ごろまではいわなとやまめの放流が続いていたという。管轄していたのは柿崎川本流と猿毛川、米山寺川だった。 したがって遊漁券は存在せず、遊漁料を払う相手もいない。放流も監視も行われていないので、いま釣れる魚はすべて自然繁殖のものになる。 漁協が無くても、期間と全長の制限は新潟県漁業調整規則が県内全域に効く。第37条により、いわなとやまめは10月1日から翌年2月末日までが採捕禁止で、実質的に釣れるのは3月1日から9月30日まで。全長15センチ以下のいわなとやまめは一年を通して採捕できない。 同じ規則の第35条で、水中に電流を通じる漁法、瀬干漁法、ごろかけ漁法、潜水器を使う漁法、水中銃、火光を利用する漁法が禁止されている。ブラックバス類とブルーギルを釣った水域に放すことも、新潟県内水面漁場管理委員会指示で禁じられている。 放流に支えられていない川なので、小さい魚を持ち帰らないという一点が、そのまま来年その川に魚がいるかどうかを決める。米山寺川では、かつては足しげく通う人もいたが釣れなくなりもはや魚は絶滅したと言われている、と地元の人が語った記録がある。

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釣行記10

釣り方:
  • 新緑につつまれて(猿毛川本流)
    kabaon(丘の上のkaba)
    エサ釣りルアー
  • 元気な岩魚たちに出会いましたが。(猿毛川シラバ沢)
    kabaon(丘の上のkaba)
    エサ釣り
  • ゼロからのスタート(猿毛川)
    kabaon(丘の上のkaba)
    エサ釣り
  • 2025年の渓歩き(猿毛川・シラバ沢・殿上沢ほか)
    kabaon(丘の上のkaba)
    エサ釣りルアー
  • 2024年の渓歩き(猿毛川・片貝川ほか)
    kabaon(丘の上のkaba)
    エサ釣り
  • 2023年の渓歩き(猿毛川・末沢川・折立川・佐梨川ほか)
    kabaon(丘の上のkaba)
    エサ釣り
  • 2022年の渓歩き(猿毛川・長棟川・片貝川ほか)
    kabaon(丘の上のkaba)
    エサ釣り
  • 2021年の渓歩き(猿毛川・末沢川ほか)
    kabaon(丘の上のkaba)
    エサ釣り
  • 2014年の渓歩き(猿毛川の魚止めほか)
    kabaon(丘の上のkaba)
    エサ釣り
  • 柿崎川の赤いイワナ
    新潟県渓流協議会

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