
横手川
秋田県
横手市の東南、旧平鹿郡山内村の甲山(942メートル)と大鈴森(870メートル)に源を発し、西北へ流れて横手市街を貫き、大仙市で雄物川に合わさる一級河川。日本歴史地名大系の記述をたどると、上流で檜沢のあたりに武道川を合わせ、大鈴森に源をもつ黒沢川が落合で松川を合わせたうえで相野々で横手川と合流し、そこから蛇行しながら西北へ流れて横手で山地を抜けて市街地に入る。街を分断して流れる間に杉沢川と吉沢川を合わせ、安本から仙北郡との郡境を流れ、市域の北西端の黒川字落合で大戸川を合わせて雄物川に注ぐ。横手といえばかまくらと焼きそばの街だが、その市街地を流れるこの川は、上流に入ると別の顔になる。渓流としての区間は山側にあり、漁協が公式サイトに出している漁場案内図には、横手川と黒沢川の合流点より上流が渓流釣り区間だ、と赤い字で書かれている。合流点は相野々で、そこから上は山内地区に入る。地元の書き手は、横手川上流域は堰堤が多い、と書いていて、堰堤の落ち込みを拾って釣り上がる形になる。この水系を全国的に知られたものにしているのがブラウントラウトになる。ヨーロッパ原産のこの外来魚がいつ入ったのかははっきりしないが、繁殖して定着し、テレビの取材が何度も入るまでになった。日本テレビの報道によれば、横手川支流では2017年から毎年、秋田県と地元の漁協が調査を兼ねた駆除作業を電気ショッカーで実施していて、支流の武道川では捕れる魚の9割以上をブラウントラウトが占めるという。漁協の副組合長は取材に、イワナ、ヤマメ、ウグイなどが減って、私らが子どものころにいた川と様子が変わってしまって、もうそういう在来種はほとんどいない状態です、と答えている。秋田県水産振興センターは、生態系のバランスが崩れて多様性がなくなる影響があると指摘している。遊漁規則の外来魚再放流禁止にブラウントラウトが名指しされているのは、この事情による。ブラウントラウトがいつどこから入ったのかについては、いま最も具体的な説明が残っている。爬虫類学者の加藤英明が2022年に現地を訪ねた記録によれば、この魚は今から80年以上前に持ち込まれたと言われ、大松川ダムができる前に存在した集落で養殖が試みられていた。飼育場所はダム湖の西側にあたる大倉沢の支流の上流で、そこから逃げ出したものが野外で繁殖して今に至る、というものになる。ルアービルダーが地元の人から聞いた話として書いている、起源は戦前にまで遡り上流にある沼で放流されたのが始まりだ、という伝聞ともおおむね重なる。大松川ダムが完成したのは1999年3月で、集落はダムの底に沈んだ。同じルアービルダーは、10数年前の時点で自分がこの水系で釣る範囲では釣れる魚の9割以上がすでにブラウントラウトだった、地元の釣り雑誌でイワナと交雑したタイガートラウトが紹介されるなど生態系への影響が危惧されていた、とも書いている。県が本格的なリリース禁止に舵を切ったのは2023年4月1日からになる。その一方で、漁協はブラウントラウト釣り大会を主催している。最初の大会は2011年5月29日で、当時の組合長が自分のブログに、横手川漁業組合としては初めて試みた大会だった、優勝は1,567グラム6尾を釣り上げた横手市の人、大物賞は51センチ、岩手県から6名が参加してくれた、と書き残している。その後いったん途切れ、近年は毎年5月下旬から6月上旬に開かれていて、2025年が第4回、2026年が第5回になる。駆除の対象でありながら大きな魚が釣れる魚として人を呼んでもいる、という二重の扱いを受けている川になる。60センチを超える個体が上がる年もあり、山形と秋田を釣り歩く書き手は毎シーズンこの川に通って、ブラウントラウトはサクラマスより面白い、と書いている。2025年10月には漁協が駆除の実施を告知したが、翌11月には中止の告知を出している。在来の渓流魚がいなくなったわけではない。地元のYouTuberは雪の残る時期にかんじきを履いて入り、朝マヅメや梅雨空の日にも通って渓流釣りの様子を出しているし、秋田県内の川を1本ずつ釣査しているチャンネルも、横手川本流とその支流を釣査した回と、支流だけを釣査した回の2本を上げている。市街地の区間はサケとサクラマスの川でもある。蛇の崎橋の下流と蛇の崎川原が稚魚放流の場所として毎年使われていて、日本海から戻ってくる魚を待つ川という性格を持っている。放流は年間の予定として公表されている。4月上旬に鮭の稚魚、5月下旬にアユの稚魚、6月上旬に渓流魚としてサクラマス、イワナ、ヤマメ、10月中旬にコイ。渓流釣りの解禁は4月1日、アユ漁の解禁は7月1日になる。稚魚の放流には地元の団体が長く関わっていて、サケは横手南ロータリークラブの水資源保護事業として2006年ごろから毎年、横手市街の蛇の崎橋下流で2万匹前後を子どもたちと放流している。アユとサクラマスは横手川水辺のふれあいフェスタ実行委員会が主催していて、2014年にはアユ13,000匹とサクラマス12,000匹を放流した。このとき組合長は、サクラマスは3年後には体長30センチほどに成長して横手川に戻ってくる、と説明している。2025年6月には横手南ロータリークラブの創立60周年記念として台湾のロータリークラブの来賓を含む70名ほどでサクラマスの稚魚5,000匹を放流し、放流したうちの2から4パーセントが3年から4年後に戻ってくる見込みだと説明された。アユは6月中旬に5万匹を放流した年があり、7月1日の解禁時点で大きいものは18センチまで育っていた。遊漁規則には書かれていないが、漁協が公式サイトに載せている漁場案内図には、赤い線と赤い文字で渓流釣り区間と書き込みがあり、横手川と黒沢川の合流点より上流、と説明が添えてある。合流点は相野々にあたる。規則の条文は区域を区切らずイワナとヤマメの期間だけを定めているので、渓流としてどこから上を釣るのかは、この図にしか書かれていない。制度は横手川漁業協同組合の内共第5号による。漁業権の魚種はあゆ、いわな、やまめ、こい、ふな、やつめ、うぐい。遊漁の期間はイワナとヤマメが4月1日から9月20日、アユが7月1日から10月31日、ヤツメが3月1日から11月30日、コイとフナとウグイが1月1日から12月31日で、アユとヤツメとコイ類は組合が定めて公表する期間に限られる。ただし秋田県漁業調整規則の第37条が県内一律でヤマメを9月1日から翌年3月20日まで禁じているので、ヤマメが釣れるのは実際には4月1日から8月31日までで、9月20日まで竿を出せるのはイワナのほうになる。全長制限はイワナとヤマメが15センチ以下、コイとフナが15センチ以下、ヤツメが30センチ以下。漁具漁法は手釣りと竿釣りに限られ、アユのガラガケとひっかけは禁止されている。通年の禁止区域は頭首工と揚水機場の4か所だけで、新旦那堰頭首工、金沢中野揚水機場、新上堰頭首工、新一の堰頭首工の、それぞれ上流80メートルから下流80メートルまでが1年を通して禁止になる。前の3つは後三年から金沢にかけての横手川中流部、新一の堰頭首工は横手市街にある。外来魚の再放流は禁止で、オオクチバス、コクチバス、ブルーギルに加えてブラウントラウトが名指しされている。遊漁料はイワナとヤマメが日券500円、年券3,000円で、アユが日券1,000円、年券7,000円、コイ・フナ・ウグイ・ヤツメが日券500円、年券3,000円。年券3,000円は秋田県の漁協のなかでも安いほうになる。高校生以下と身体障害者手帳3級以上の人は無料。現場で納めるときの加算額は、遊漁規則がアユ1,000円その他500円と書くのに対し、漁協公式のページはイワナ・ヤマメを300円加算と書いていて食い違うので、買うときに確かめたほうがよい。売り場は9か所で、横手市街が漁協事務所と鶴田徳松と横手釣り具センター、山内地区が土場商店、三ツ矢商店、木村酒店、小原酒店、ほかにセブンイレブン道の駅十文字店とつり具の上州屋大曲店。フィッシュパスのオンラインでも買える。山内地区の4軒はいずれも商店と酒店で、大松川ダムの入口にあたるのが小原酒店になる。相野々温泉の鶴ヶ池荘も、川から車で5分という立地で日釣り券を売っていると自分のブログに書いている。秋田県内水面漁業協同組合連合会の県内共通遊漁券を使うと、内共第13号と第22号を除く内共第1号から第25号までの全漁場でイワナとヤマメが年15,000円になる。秋田県の第五種共同漁業権は、他県のように支流及び小支流という包括的な書き方をせず、漁場の区域を1本ずつ名指しで並べる。内共第5号は24の区間を並べていて、名指しに出てこない川はそのまま漁業権の外になる。地図に名前のある沢はこの流域だけで90本を超えるが、条文が挙げるのは24本だけなので、実際には流域の大半が漁業権の外にあることになる。
管轄漁協:横手川漁業協同組合
支流・沢3
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横手川(秋田県 横手川漁協)FISHPASS Video
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