
馬場目川
秋田県
秋田県南秋田郡五城目町の馬場目岳(1,037メートル)を源に西へ流れ、八郎潟調整池に入って船越水道から日本海に出る川。流域面積910.5平方キロメートル、幹川流路延長47.5キロメートルで、三種川や井川など22の支川を合わせる秋田県内最大の二級河川になる。ただし渓流として竿を出すのは五城目町の上流部で、下流は八郎潟の干拓地に開けた水田地帯を流れる。この川でいちばん先に知っておきたいのは、水量が雨だけでは決まらないことになる。隣の小阿仁川水系にある萩形ダムの水が山越しに導かれ、杉沢発電所から馬場目川へ落ちている。放水が始まるとサイレンが鳴り、発電所より下流は一気に水位が上がる。毎週のように通っていた地元の書き手は、放水開始が9時の予定と聞いて6時半に入渓したのに7時ちょうどにサイレンが鳴って30分で切り上げた日を記録し、その状況をメインストリームの時限付き解禁と書いている。同じ書き手は釣行のたびに保呂瀬の堰堤の写真を残していて、雪代の白みがかった青、渇水で堰堤の水しぶきが見えない状態、翡翠色といった水色の変化がそのまま並ぶ。春に開かれる釣り大会では、実行委員会が発電所に放水を止めてもらったうえで競技を行っている。渓相は巨石と奇岩で、上流部は川幅20〜30メートル、河床勾配は100分の1から200分の1ほど。県の資料は、太平山県立自然公園の飛地である保呂瀬の狭窄部、馬場目川と臼内沢の合流部から臼内渓谷にかけて、北ノ又上流部の巨岩を良好な景観として挙げている。ほかに川台渓谷と仙入橋園地がある。魚はヤマメが主でイワナも出る。エサ釣りが主流で、ピンピン、キンパク、ヒラタといった川虫が使われる。近年の記録では32.8センチのイワナ、ゴルジュ帯で26センチのヤマメが上がっている。この川は映画の舞台としても知られる。上流部にあるネコバリ岩は高さ6メートルほどの巨岩で、むき出しの岩の上に杉やナラ、ブナが波のように根を張り、離れた地面とつながっていることから根古波離岩と名づけられた。2009年公開の実写版映画の撮影がこの流域で行われ、北ノ又集落の茅葺き民家が主人公の実家として使われた。その家は2021年11月20日に老朽化で閉館し解体され、いまは杉沢交流センター友愛館の中に、囲炉裏ややかんを使って雰囲気を再現した部屋がある。春の釣り大会はこの川の年中行事になっている。1990年代から毎年4月下旬に開かれ、会場は旧杉沢小中学校を使った杉沢交流センター友愛館。対象はヤマメとイワナで、参加者は20〜30人、エサ釣りとルアーの割合はおおよそ7対3。競技地域は馬場目川の流域から富津内川と内川川を除いた範囲になる。2011年は東日本大震災の直後で中止された。入るときに気をつけたいのが道になる。谷ごとに林道が上がっているが、大雨によるがけ崩れで入口に鎖が張られたものが増えていて、車で入れない沢がいくつもある。ネコバリ岩から先の道は11月下旬から4月中旬ごろまで積雪で通行止めになる。県道129号線の起点から仙入橋園地までの区間は法面の崩落防止工事で全面通行止めになっており、馬場目岳の登山口へ向かう道も土砂崩れで通れない。上流の林道は天然秋田杉を運び出した森林鉄道の跡で、岩をくりぬいた素掘りの隧道が途中に残っている。夏はアブが厳しい。8月中旬に中流の中屋敷橋から荷背ノ橋まで1キロ強を釣り上がった書き手は、途中で会った釣り人2人がアブの猛攻で下流へ退散したこと、自分はハッカ油を水で薄めたスプレーで防いだことを書いている。アブのピークは8月中旬でそこから10日ほど続く。熊の出没も多く、川沿いの畑での目撃が報じられている。流域の集落は、上流から恋地、坊井地、杉沢、合地の4つに加えて北ノ又と蛇喰がある。北ノ又と蛇喰には茅葺き屋根の宿泊施設と、地域の住民が運営する農家レストランがあり、釣り人の休憩場所になっている。この一帯は藩政時代から昭和40年代まで秋田杉と木炭の一大生産地だった。2023年7月の豪雨ではこの水系が大きな被害を受けた。翌月に入った釣り人は、護岸や擁壁、道路や田んぼに爪痕が残っていたこと、地元の釣り師から川の魚も全くいなくなってしまったと聞いたことを記録している。読みはばばめがわ。県の河川整備基本方針にふりがながある。この水系で釣りの対象として名前が挙がる流れは16本ある。上流から銀ノ沢、水無沢、芦見沢、臼内沢とその上の南沢、北ノ又沢と中ノ又沢、大倉又沢と阿仁又沢、保呂瀬沢、そして富津内川と内川川、中津又沢、北口沢、滝ノ下沢になる。このうち銀ノ沢、水無沢、芦見沢、保呂瀬沢、南沢、中津又沢については、いまのところ釣行の記録が見つかっていないため、このサイトでは個別のページを作っていない。銀ノ沢には馬場目岳へ登る銀ノ沢コースが通っていて、登山口は光沢園地にある。保呂瀬は本流側の堰堤と狭窄部の名前としてよく出てくる。いっぽう、光又沢と高千川、小倉川、小川口川、上沢は流れとして地図に名前があるが、この水系で釣りの対象として名前が挙がる16本には入っていない。光又沢は馬場目川の源流域を構成する沢のひとつとして釣り人のガイドに名前が出る。
管轄漁協:馬場目川漁業協同組合
支流・沢4
釣行記144

魚類剥製渡部 馬場目川の婚姻色ヤマメ魚類剥製渡部

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釣れなかった渓で大屋俊英のアウトドアライフ




馬場目川の眺め(林道探索の書 AK-056)林道探索の書

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