渓流手帖

名立川

新潟県

上越市の西端、名立区を流れて日本海に注ぐ二級水系の本流。矢代山地の不動山(1,430メートル)と大毛無山(1,429メートル)を源にして北へ下り、名立大町で海に出る。流路の総延長は約23キロメートル、流域面積は約45平方キロメートル。二級河川に指定されている区間は19,259メートルで、その上流端は大字東飛山字桂吹の神葉沢合流点である。東は桑取川、西は能生川にはさまれた、単独の流域を持つ川になる。 海岸線から山地が一気に立ち上がる地形なので、上越インターチェンジから河口まで10分、そこから山へ向かって20分も走ればもう上流域という近さである。標高100メートルから150メートルの低い場所を流れていながら渓流魚がいる、この一帯に共通した性格を名立川も持っている。 釣り場としての中心は取水ダムより上流で、1974年に新潟県内水面水産試験場が能生川と名立川で行った調査でも、取水ダムより上流と神葉沢・柴谷にいわな・やまめ・かじかが生息し、主要魚種はいわなとされている。中流の東飛山から折戸、大菅にかけてはうぐいとあゆとこいの区間、国鉄橋梁より下流はうぐいとあゆとよしのぼりの区間だと同じ報告に書かれている。同じ報告は支流について、坪野川の上流でいわなの生息が多いと地元からの聞き取りを載せている。水系のなかで坪のつく川は坪山川だけである。 記録として残っている釣果は、いわなの型がよい川であることを示している。2001年8月14日には、本流と神葉沢の出合に車を止めて夜明けを迎えた釣り人が、出合の堰堤から入って20センチ級を拾い、高巻きして上流に出たあと、跨げるほどの小さな流れが入るわずか0.5平方メートルの溜りから36センチのいわなを引き出している。このときの水温は16度だった。2015年4月19日には、除雪されていない林道を車で進めるところまで入って釣り始め、小さな堰堤の三投目で28センチ、少し奥の堰堤寄りで27センチ、下流へ移動した最後の堰堤付近でもう1匹という記録がある。いずれもえらが大きく色の白い、天然に見える魚だったと書かれている。 一方で、川が荒れやすい面もある。2001年8月の釣行では、2、3日前の局地的な豪雨で本流が真っ赤に濁り、土石流で押し流された砂利と流木で渓が荒れていた。このとき神葉沢のほうは笹濁りで済んでいる。本流が使えないときに支流へ逃げられる、という組み立てができる水系である。逆に2010年9月の記録では猛暑で水量が極端に少なく、紫雲谷へ渡るための徒渉が「お遊び」と書かれるほどだった。 本流のいちばん上、大毛無山を取り巻く源頭部は樺沢と呼ばれている。中流域で林道が横断し、上流へ向かって砂防堰堤が造られている。初夏の山菜の時季に大毛無山の山頂から樺沢へ迷い込んだ人が、ビバークのあと名立川本流を下降して救助された例がある。 入り方は南葉山基幹林道の名立側から。飛山集落を過ぎて紫雲谷の出合を越えた標高367メートル付近にゲートがあり、幅いっぱいの頑丈なもので四桁の数字錠が掛かっている。バイクも通せないので、閉まっていれば歩くことになる。林道は土砂崩れが頻繁に起きて長く通行止めになっていた時期があり、2015年と2016年は山岳会が上越市と交渉して通行許可を得ている。名立川本流に架かる土管橋が不動山の登山口である。出かける前に上越市に林道の状況を確かめたほうがよい。 水位は県の大菅観測所で見られる。 名立川水系には内水面の漁業協同組合が無い。新潟県が公表している第五種共同漁業権の設定状況は内共第1号から第22号までの22件で、その全文と漁場図、対象魚種一覧のいずれにも名立川と支流の名前は出てこない。東隣の桑取川は内共第17号、西隣の能生川は内共第18号だが、そのあいだにある名立川だけが漁業権の設定されていない川になっている。新潟県内水面漁業協同組合連合会の遊漁のしおりにも名立川の欄は無い。したがって遊漁券は存在せず、遊漁料を払う相手もいない。 古い河川ガイドのなかには、名立川を桑取川漁業協同組合の管轄として桑取川と同じ行にまとめ、解禁3月1日から9月30日、日券1,000円、年券5,000円と書いているものがある。2001年時点の中部渓流ファイルがそれで、記載どおりに読むと遊漁券が要ることになるが、県の漁業権の設定状況に名立川の免許は存在しない。古い記載のほうを疑ったほうがよい。 漁協が無くても、期間と全長の制限は新潟県漁業調整規則第37条が県内全域に効く。いわなとやまめは10月1日から翌年2月末日までが採捕禁止で、実質的に釣れるのは3月1日から9月30日まで。全長15センチ以下のいわなとやまめは一年を通して採捕できない。これは漁業権の有無と関係なく適用され、違反すれば罰則がある。 同じ規則の第35条で、水中に電流を通じる漁法、瀬干漁法、ごろかけ漁法、潜水器を使う漁法、水中銃、火光を利用する漁法が禁止されている。ブラックバス類とブルーギルを釣った水域に放すことも、新潟県内水面漁場管理委員会指示で禁じられている。 漁協が無いということは、放流する者も監視する者もいないということでもある。名立川の渓流魚は放流に支えられていないので、小さい魚を持ち帰らないという一点が、そのまま来年その川に魚がいるかどうかを決める。 渓流とは別に、名立川では秋にさけ漁が行われている。さけ漁業生産組合が毎年11月上旬から12月中旬にかけて、河口から約300メートル上流に「ウライ」と呼ばれる遡上を止める柵を組み、中央のカゴに追い込む方法と、ウライの手前で投網を打つ方法で捕獲する。捕ったさけはその場で採卵して人工ふ化させ、翌年に稚魚を放流している。水揚げは年によって差があり、2017年は約15,000匹、2018年は10,450匹だった。ウライが立つのは渓流の禁漁期間に入ってからなので、渓流釣りと重なることはない。 名前のついた支流は、坪山川、田野上川、前川、引沢川、沢内川、十二川の6本である。いずれも二級河川の指定区間が400メートルから900メートルしかない小さな流れで、釣行記も遡行記録も見つからなかったため河川ページは作っていない。坪山川だけは1974年の県の報告に上流でいわなが多いという聞き取りが載っているが、現在の記録が1本も無いため、同じ扱いにした。 名立川の名で紛れるものとして、河口の名立漁港と名立沖がある。検索するとアジ、アオリイカ、マダイといった海の釣果がほとんどを占めるので、渓流の情報を探すときは支流の名前で当たったほうが早い。

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支流・沢2

釣行記18

釣り方:

支流の釣行記10

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