渓流手帖

袖川沢

秋田県

真木渓谷で真木川に落ちる沢。県のガイドマップが渓歩きの入渓点としている袖川沢分岐の駐車場は、この沢の出合いにある。出合いから入ると東北の沢らしい川幅の広いゴーロ歩きから始まり、豊かな森と杉の巨木が続く。小滝を2つ越すとキトノ沢の出合いになり、手前に広い川原があるので幕営地に使われる。その上流は8メートル滝、12メートル滝、50メートルほどの多段のナメ滝、15メートル滝と登れない滝が続き、高巻きと懸垂下降が要る。関東の山岳会がここを2007年に遡行して記録を残している。枝沢の大杉沢とキトノ沢にもそれぞれ遡行の記録がある。真木渓谷の入口にあたる位置なので、谷全体を歩く人の通り道にもなっている。この一帯には1級から2級の沢が多い。1級は初心者向きで岩場のIII級をリードできれば多くの場合ロープが要らない、2級は中級者向きで滝の直登にロープを要する部分があり高巻き技術も必要、という区分になる。初心者だけでの入渓は避けて、熟達者と一緒に入りたい。枝沢の小杉沢との合流点のすぐ上に3メートルほどの滝があり、左側は垂直な壁で1メートルもない幅から一気に滝壺へ落ちている。その滝より上は左右に蛇行した河原で絶好のテント場になり、一帯はウド畑だという。車止めの「つきどまり大岩」の看板には袖川沢は山菜の宝庫と書かれている。つきどまり大岩は2つの堰堤の間に座る巨大な岩で、明治29年の真昼地震のときに袖川沢の入口を塞ぎ込み、以来ここに居座り続けているといわれる。上部の堰堤のはしごを登って左岸から右岸に渡る形になるが、増水時は横断できない。名物の夫婦岩は左岸に並ぶ10メートルほどの巨岩2つで、頭に樹木が生えている。この沢のイワナは腹部の橙色が薄く、全体的に黒っぽくてスマートな体型をしている。出合いにある落差3メートルのヨドメの滝の上にはイワナが生息していない。増水すれば自力で遡上できそうな落差なのに登れないのは、滝の落ち口が極端に圧縮されていて流速が速すぎるためではないか、と観察した書き手がいる。

管轄漁協:仙北漁業協同組合

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